2014年5月10日土曜日

レクチャー「郊外まちづくりを俯瞰する」

横浜国大大学院都市イノベーション学府、「環境都市デザインスタジオ」は、今年度、

「創造的郊外」

というテーマで、相鉄いずみ野線沿線の郊外エリアを対象にしていますが、

その中で、5月9日、スタジオ内のレクチャーシリーズ第一弾ということで、
「郊外まちづくりを俯瞰する」という講演会を開催しました。

第一部は、第一線で活躍され、横浜にも精通されている3名の都市計画コンサルタント
の方々に講演して頂きました。


 
都市環境研究所の高鍋さんからは、北部・西部・南部と分かれ状況が異なる点や、
駅に人口が集まりつつある(たまに駅前が急速に下がっているところもある)といった、
横浜市郊外の全体状況と、
現在進められているたまプラーザ・東急多摩田園都市の取組みと、そこで活躍する
人たちの像について、

地域計画研究所の内海さんからは、横浜市郊外で進められている農的空間を活かしたまちづくり
に関して、住宅と農地の近接性や、様々なプレイヤーが関わり始めている状況について、

山手総合計画研究所の菅さんからは、港北NTや旭区グリーンロード、和泉川など、
いくつもの郊外の魅力ある空間を生み出すためのリサーチや実践についてお話し
頂きました。

第二部では、これに加えて、横浜市の秋元さんをコーディネータとして、
4人で今後の郊外についてディスカッションが行われました。


郊外は、英語では「suburb」といいますが、まさに「Sub-Urban」、都市のサブ、ベッドタウン
として生まれてきたということを背景に、これからは、サブではない郊外となりうるか?
も一つの論点でした。

高齢者の中でも8割いるといわれるアクティブシニア層や、少し子育ての落ち着いた女性など、
潜在的な力を秘めた人たちが(地域づくりの)「働き手」として活躍し始めているというたまプラーザでの話、

逆に新興住宅地で起こる、地縁コミュニティ(自治会)とテーマコミュニティ(NPO)のズレの問題、

工場や農地が近くにあることで、新たなパート先の存在が複合型ライフスタイルを生む可能性、

6次産業や食、エネルギーなどを媒介にしたつなぎ方の可能性、などが議論されました。

第三部は、スタジオで進行中の資源リサーチの中間的発表。

チームごとに、住宅の建て替わり変遷を細やかにプロットした結果を示したり、
農業専用地区の中にあるアドホックな現状をヒアリングした結果報告をしたり、
様々な報告がなされました。


今後の作業としては、どんな新たな郊外を創造したいか、ビジョンを持ちながら調べる、
いや、むしろ、想像的(imaginative)な視点での調査が必要とされるかもしれません。

高度成長期以降に、計画的もしくは非計画的に急速に拡大してしまった郊外住宅エリア。
そのため、様々な技術は取り入れつつもやや画一的、あるいは無秩序な状況が進展していますが、その前の状態、あるいはこれからのヒントを積み重ねることで、
新たなカスタムが考えられるかもしれません。

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