2012年6月22日金曜日

洋野町プロジェクト

青森(八戸)との県境、太平洋に面する人口約2万人の小さな町、岩手県九戸郡洋野町。

海側の旧種市町と山側の旧大野村が合併してできたこの町は、東日本大震災では、リアス式の地形や防潮堤の効果もあり、沿岸の港町で少し被害がありましたが、幸いにも死者等を出すことはありませんでした。

この町の地域づくりには、2000年から東京大学都市デザイン研究室が関わり、私が参加
(2003年)してからは、もうすぐ10年の歳月を迎えようとしています。

中でも特徴的な風景の一つに、茅葺民家があります。建築史家、藤森照信先生に「マンモスのようだ」と言わしめた、野性味あふれるその姿は、豪快で生生しさを感じる風景であり、「芝棟」と言われる、屋根の上に土を置いて野芝や草木を植えることで、棟(むね:屋根と屋根の重なる部分)を押さえるその姿は、縄文時代からの手法だともいわれています。



そんな茅葺民家の実態とこれを持続的に大切にしてゆくべく、昨年度から、横浜国大建築史建築芸術研究室(大野敏先生ら)とともに、茅葺民家の調査研究を行っています。
町全体に広がる60棟以上の茅葺民家の分布やその利用実態、改修の状況を把握しつつ、
町に一棟しか残っていないと言われる「曲屋」(まがりや:馬屋と一体となった、L字の平面をした民家)の詳細な実測なども行う一方、材料や職人、資金の不足、現代生活への適応などで課題の多い茅葺民家とどのように付き合ってゆくかについても、考えてゆかねばなりません。

しかし、藤森先生の「ニラハウス」のように、まちじゅうにニラの花が咲き誇る姿をイメージしてみるとわくわくしてきます(芝棟には、かつては、本当にニラを植えたこともあったそうです)。



0 件のコメント:

コメントを投稿