2012年9月18日火曜日

歴史的記念物の日(ブリュッセル)

歴史的記念物の日(European Heritage Days/Journees du Patrimoine)は、
9月中の土日に、ヨーロッパ中の49か国の各都市(都市圏・郊外・田舎も含めて)で
行われています。

チョコレート、ワッフル、ビール、ムール貝…と食事を挙げるに事欠かないベルギー、中でも、
19世紀末、オースマンの都市大改造がヨーロッパに広まる中で、シャルル・ビュルス市長の功績
によって、都市の修復型保全が実現して、芳醇な歴史が漂うブリュッセル(ベルギー)でも、
9月15-16日に、「歴史的記念物の日」が開催されています。

都市圏政府がイニシアチブを採るブリュッセルの歴史的記念物の日、
今年のテーマは、「構造の芸術」。構造美がよくわかる建築物が無料公開されています。

各施設では、歴史的建造物に関連する中間支援団体の
スタッフによるガイドビジット(ただし、フランス語/オランダ語…)が行われます。

明日から新学期の始まる高等専門学校に向かうと、単に建造物の歴史のみならず、
なぜここにこの建物があるのかを示す上で必要な、都市や通りの成立ちから解説されました。

 
 
光の降り注ぐ教育環境を実現するため、建設当初から中庭にはガラスの屋根が
架けられており、排気排煙窓も設けられています。
 
 
いつもはオフィスとして使われているらしいまちなかの小施設に行くと、
レンガのアーチ屋根に鉄骨の細い柱で出来上がる(非地震国ならでは?)構造が見られます。
 
 
ちょっと中心部から外れると、近代から現代に向かう20世紀初頭に活躍した、
物流のための公共倉庫+駅の遺産が残されています。
 
流通の拠点として、河川と石畳の街道が通るその脇にたたずむ、
「Tour et Taxi」と呼ばれるこの施設は、その一部、
鉄道が中央に入り込んで荷物を出し入れした巨大倉庫部分が、
ショッピングセンターとして再生活用されています。
 
また、大きな鋸屋根の施設や、元駅舎も残っており、全体を含めて
現代の「モノ」を支えてきた壮大な空間の力を感じます。
 
 
また、構造美の中に、さらに、アールヌーボーの装飾意匠が
細かく絡み合う、とても美しいものです。
 
そして、オペラなどの開催される劇場の内部公開。
舞台に立つと、とても装飾の施された観客席を前に、
後ろには機械的な緞帳や照明などがひしめいています。
 
 
ブリュッセル旧市街地内で28施設、首都圏域だと83施設。
解説は、どこも熱心で、時には2時間に及ぶ施設も。
とても数日では回りきれませんが、市民はとても熱心にガイドに耳を傾け、
時折質問や笑いを交えながら、積層する都市の魅力を味わっていました。

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