2014年9月21日日曜日

シャレットワークショップ【水都大阪】

去る9月5日から9日まで、日本建築学会、「住まい・まちづくり支援建築会議」が主催する、
シャレットワークショップが行われました。

シャレットワークショップとは、元々は、「シャレット」=フランス語で荷馬車という意味で、
フランスの建築教育の殿堂、エコール・デ・ボザールで、設計課題の提出締め切り前に、
図面を荷馬車に載せて運ぶくらい、ギリギリでやっていたことに端を発し
(いつの時代も変わりませんね)、
専門家等が集まって、短期に集中して課題を解決する提案を行う取組のことを指します。
今回のシャレットワークショップは、日本全国の建築・都市計画・まちづくりを学ぶ学生が
集まって、5日間合宿で提案を行うものです。

今年度は、「大阪・水都のまちづくりデザインを考える」ということで、水都大阪でも、
特に、これからの伸びが期待される、中之島の西側、「中之島GATE」と呼ばれる場所が
舞台となって、提案が行われました。

まずは、水都大阪パートナーズにて、水都大阪の、水辺を活用した様々な取組みにチャレンジ
している、コンサルタントの泉さんのレクチャーとまちあるき、
そして、関西大学の岡先生から、大阪のまちの成り立ちと水都大阪の関係についてお話
頂きました。

中之島の西側は、かつて、海と陸の接点となる、まさにGATE。
江戸時代も安治川口は、大きな船から小さな船に乗り換える河岸拠点でもありました。
明治時代には、居留地や庁舎もあった、外国との接点でもあったこの地。

ここに新たなどんな未来が描けるでしょうか。

中之島GATEにある、河道跡の小さな埋め立て地、サウスピアでは、イベント的活用を経て、
劇団の演劇、そして、間もなくファーマーズマーケットができる予定だそうです。

さて、そんな5日間で行われた、学生さんたちの提案に関する感想です。


グループA「View Hab」

剣先と呼ばれる、中之島の西岸を周辺の動線も含めてリ・デザインする提案
剣先から川の向こう(西側)に見える夕陽とマジックタイムを一人占めできる
堪能空間の挿入とモビリティの様々なハブを生み出せるのは、面白かった。
それぞれの空間のデザイン化と、モビリティ同士の(モビリティとモビリティとの
接点の快適なアクセスと空間か)をもっと具体的に考えた時の
ノードデザインとサーキュレーションデザインができるとよかった。

グループAB「日が昇るまで」
卸売市場と住友倉庫に目を付け、このエリアのメイン時間帯である夕方から朝方を
楽しむための滞在拠点を検討する案。
大規模な重厚な倉庫建築にホテルとして部分挿入するときに、どのような空間が
挿入できるかがデザイン化されるとよかった。
コンテナ空間・水上活用ももっとこだわった、活用・増築・リデザインが見られるとよかった。
タイムシェアリングの概念が、以前、横浜の卸売市場でコールハース
(クールハースというと世代がバレる・・・笑)が提案したものでは、空き空間(時間)に
新たなプログラムを挿入したが、「ピークの時間」をさらに使いこなす発想が新しかった。

グループB「」


卸売市場のある対岸とサウスピアを堤防と橋でつなげてサーキュレーションを獲得する案。
ターレットトラック(卸売市場内を走る特殊車両)のデザインも使い方も対象も
プログラムももっと多様にデザインできるとさらによかった。
全体のサーキュレーションと空間デザインと活動をどのように
統合化できるかがわかるとよかった。。

グループC「異知場」


中央卸売市場の再編を含めた再生提案。屋上や護岸側部分を用いて市民に開く。
もっともっと市場を使いこなせると面白い。
朝4時からやっている喫茶店、クリニック、社会科見学の赤帽のこどもたち、
市のまちなか観光課…様々なものが混在した空間。
サーキュレーションも様々なものが様々な速度でうごめくこの市場。
こちらは、どちらかというと、コールハース的ではあるが、
だからこそ、もっと大胆に市民に開いてもよかったのかもしれない。
裏の引込線や、いくつかある仲卸業者なども用いて考えることもあったかも。

グループD-1「川口ピア」



新たな都心の水辺と倉庫等空間をふんだんに感じて住むこと
についてもっと迫れるとよかった。
最終的には護岸デザイン+倉庫に行きついたが、
この接点に迫ることが、将来の都市にどのように影響があるのか。。。

グループD-2「津々浦裏」


かつての河岸、島、旧居留地とそのころの水路(川)に着目して、
現代の出島的な空間(しかも無堤)を挿入。
ここまで水辺を改編したときに、その分、国際的なGATEとして負けない、
クリエイティブでグローバルで多様な空間挿入ができればよかった。
その意味では、もっと大きな視点・位置づけがあるとよかった。

***
そして、ワークショップ中に書いた、落書きの足跡・・・





 

 

 

2014年9月15日月曜日

「くりらぼ多摩川」発表

しばらく、ブログを更新しておりませんでした。失礼致しました。

去る9月12日より14日まで、神戸大学にて、日本建築学会大会が行われておりました。
そこでは、様々なプログラムが企画されており、いくつかに対して、また後ほど
ご報告したいと思いますが、その中の根幹となっているのが、学術講演会および
建築デザイン発表会による、各学会員の研究・作品報告です。

その中で、今回、「建築デザイン発表会」におきまして、大田クリエイティブタウン研究会の
プロジェクトの中から、創造活動拠点である、「くりらぼ多摩川」についての発表を
行いました。

大田の町工場を巡る状況、
モノづくりのまちづくりを総合的に行うクリエイティブタウン構想
くりらぼ多摩川に求められている機能(創造活動、ワークショップ、ツアー窓口、ほか)
くりらぼ多摩川改修の状況(旧工場棟と旧事務所棟のリノベーション)
運営状況まで、4分で話すというつめこみ気味の発表でした。

建築デザイン発表会自体は、現場の建築プロジェクトや卒業・修士設計なども含めて
建築デザインに関わる報告を実現したかしないか、学生か社会人かも問わず一緒に
報告し合う会です。

こちらの建築デザイン発表会は、テーマごとにカテゴリーに分かれ、発表質疑のほか、
グループディスカッションが行われ、その中から、優秀発表が選ばれるのですが、
このたび、首都大学東京の川原先生・岡村先生、当研究室の修士課程阿部さんとともに
発表した上記の「くりらぼ多摩川」の発表が、優秀発表に選ばれました!
このセッションをコーディネートしてくださった貝島桃代先生から、直接頂きました。



これらも、大田クリエイティブタウン研究に携わってくださる、大田観光協会、各大学関係者、
をはじめとするみなさまのお蔭です。

大田プロジェクトも少しずつ、前に向かって進化してきています。
今後も、いろいろと成果を積み重ねていきたいところです。