2012年12月25日火曜日

横浜への意識調査

先日、横浜市文化観光局(横浜魅力づくり室)によって、二つの調査

「文化芸術に関する意識調査」
「横浜市に関する意識・生活行動実態調査」

に関する調査まとめがHPにて、発表されました。

http://www.city.yokohama.lg.jp/bunka/outline/miryoku/bunka-chosa.html

http://www.city.yokohama.lg.jp/bunka/outline/miryoku/ishiki-chosa.html

全国の方々が最も魅力に感じるのは、街並み・景観や夜景であること、
横浜のイメージが、都会的、おしゃれ、センス、活気などであること、

身近な文化活動を行うことに対する支援の要望(文化活動へのニーズ)、
あるいは、身近な文化活動への参加意識、

などを読み取ることができるとともに、

市内の文化観光施設の認知度を見ると、
横浜スタジアム、山下公園、八景島シーパラダイス、横浜アリーナなどが上位を占める一方、
黄金町スタジオ、急な坂スタジオ、新・港区、BankARTなどの認知度が低位になっています。

イベントとしても、
プロ野球、マラソン、サッカーなどが上位を示す中、
黄金町バザールや、オープンヨコハマが低位になっています。

しかしながら、よく見ると、横浜市民の5人に1人もの人が、
BankARTを認知していると読み取ることもできるし、
こうした認知度の低い施設にも、
文化芸術創造都市を重要視している市は、積極的な投資育成を進めている
という、ポジティブな見方をすることができますし、にもかかわらず
認知度が上がっていないのは、プロモーションのあり方に課題があると
読み取ることもできます。

また、イベント認知度では、「DanceDanceDance」イベントよりも、
「スマートイルミネーション横浜」の方が認知度高かったり、
いろんな視点で分析されうる、興味深いデータです。











2012年12月23日日曜日

出てくる横浜 (フィルムコミッション・ヨコハマ)

都市を学びながらの、ちょっとした楽しみの一つ、
映画やドラマの中にでてくる背景はどこかを探る旅。

中でも、横浜は、様々なドラマや映画のロケ地や、唄の舞台として出てきます。

古くは、
「天国と地獄」(黒澤明監督)の黄金町と南太田、
「アブナイ刑事」の赤レンガ倉庫(かつては空き倉庫)


歌では、
いしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」に、
青江美奈の「伊勢佐木町ブルース」、
最近では、
サザンオールスターズの「Love Affair」、
ゆずの「桜木町」など、
様々な場面が思い浮かびます。
この「Love Affair」を基に書かれた東野圭吾「夜明けの街で」も
横浜を舞台に映画化されました。

近年では、
ジブリ映画、「コクリコ坂から」の舞台としての山手が注目されました。
(具体的な場所は示されませんが)、
「僕と妻の1778の物語」でも出版社としてでてくる万国橋ビルは、
最近、もう壊されてしまいました…。

直近では、ドラマ「結婚しない」で、
ヨコハマ中がロケ地となっていたそうです。

そして今、日本大通りがロケ地として使われた
「今日、恋をはじめます」は、横浜市と提携してキャンペーン中。


文化観光局のHPから、MAPも見られます。

是非、そんな横浜のまちに足を運んでみてはいかがでしょうか。

2012年12月5日水曜日

第二回おおたオープンファクトリー終了!

去る、12月1日(土)、以前お伝えしました通り、
東急多摩川線下丸子駅・武蔵新田駅周辺の町工場を中心として、
第二回おおたオープンファクトリーが開催されました。

当日は、少し気温が低く、お昼には極寒の突風が吹く中で、
お越しいただいた皆様には、大変感謝申し上げます。

大田には、世界にとどろく最高の技術が近くにあるにもかかわらず、
普段なかなか見ることのできない、そんな町工場の様子を感じることができただけでなく、
今回は、お子様連れも大変多く、幼な心にも、モノづくりの魅力を感じてもらえたなら
とてもうれしいです。

▼当日のまちなか工場カフェの様子。

 
 

▼ 工業高校生のツアーの様子。みんな真剣に聞いていました。


今回は、上記地域を中心として各地に広がる町工場団体である「工和会協同組合」と
協働で行う取組みであり、町工場とコミュニケーションをとりながら進めることができました。
会に加盟していない工場で協力してくださるところもあり、いろんなコラボが生まれました。
大田の町工場を見てみると、各工場の工場主は、ある意味で地権者でもあり地域住民でも
あることが多く、その意味でも、単に産業のみならず地域の主役でもあります。

また、今回は、工場だけでなく、地域の商店街や町内会とも連携ができ、まちぐるみの
取組みに拡大できた点が大きかったです。

下丸子・武蔵新田駅各地の商店街(下丸子商店会、下丸子商栄会、武蔵新田商店会)
には、赤く輝くフラッグを掲げていただけました。


また、各町内会の掲示板では、ポスターやクイズラリーのパネルを掲示させていただけました。



そして、これは毎回ですが、学生さん(首都大学東京・東京大学・横浜国立大学)が
何よりも最大の功労者。
数か月前から企画準備を進め、何度も会議を重ね、準備をかさね、
前日には各設営に精を出し、当日は、それぞれの役割を担っていきました。


 


今回は、当日ボランティアスタッフも学生さんが担い、協力体制も盤石でした。


地域の価値とは何か、その地域が生み出す価値を大切にする町のあり方は何か、
今後も、下丸子矢口周辺、あるいは、大田区、日本のまちを豊かにするための
取組みとして発展するとよいなと思います。

最近では、各地でこうした取り組みが増えています。台東区の「モノマチ」、
墨田区の「スミファ」、これらの取組みも進んでおり、これらとも連携しながら、
「日本オープンファクトリーの日」などができたりするとよいなと思います。

2012年11月18日日曜日

12/1(土)、第2回おおたオープンファクトリー!

さて、今年度も、「おおたオープンファクトリー」が開催されることとなりました。
第二回は、以前もお伝えした通り、12/1(土)の9:30~16:30、
東急多摩川線下丸子・武蔵新田駅周辺に集まる町工場のまちで行われます。

このイベントは、日本のものづくりを支え、世界にも誇る技術の集まる大田の町工場街
(今回は、多摩川沿い、東急多摩川線沿いの、矢口・下丸子・鵜の木・千鳥地区の一部)
を舞台にして、ものづくりのまちに集まる、「ヒト・モノ・ワザ」を体感できる、
一日限定の町工場一斉公開イベントです。




当日は、

1)工場の職人さんたちによる解説や、体験などを通して工場見学できる「工場オープン」
 ▼随時見学可能な「いつでもオープン」
 ▼時間指定整理券制の「予約オープン」

2)テーマやターゲットに沿った厳選工場を、ガイド付で回ることのできる「工場見学・体験ツアー」

を通して、普段なかなか覗くことのできない、小さな町工場の様子を見ることができます。

特に、ツアーに関しては、11/17(土)より、
ホームページ上にて予約を開始いたしました!!!

今年は、
■歴史ツアー:「大田・品川まちめぐりガイドの会」の方々による、地域を知るツアー。
■仲間回しツアー:大田の特徴である、一つの製品を作るのに、いくつもの工場を巡る、
           「仲間回し」を体感するツアー。
■クリエイターツアー:町工場の技術にご興味のあるクリエイター限定ツアー。
■小学校の先生ツアー:大田区内を中心とした、学校の先生対象のツアー。
■工業高校生向けツアー:(一般公募はありません)

をご用意していますので、詳しくは、下記ホームページをご覧ください。

このほか、町工場で工夫した製品がガチャガチャで手に入る「モノづくりたまご」
町工場で生み出されたデザイン製品やその技術説明が一挙に集まる「モノ・ワザコレクション」
おこさまも安心して楽しめる「子どもクイズラリー」など、企画目白押しです。

町工場のほか、情報拠点としてMAPや冊子、情報の集まる「下丸子インフォボックス」、
情報の上に、モノ・ワザコレクションの展示などもみられる「モノまちラウンジ」、
工場長屋の横で汐焼きそばの販売(数量限定)もある「まちなか工場カフェ」など、
拠点も充実しています。

詳しくは、HPをご覧ください。

http://www.comp.tmu.ac.jp/ssm/mono/openfactory.html

http://blog.livedoor.jp/otaopenfactory/

また、Facebook、twitterでも、OTA OPEN FACTORYで検索してみてください。

https://twitter.com/otaopenfactory


奮って是非お越しください!!!



2012年11月3日土曜日

通りを豊かにする社会実験【松山市花園町通り】

10/25(金)より、11/4(日)まで、松山市花園町通りでは、社会実験が行われています。

幅員約36m程度の、片側2車線ずつ、計4車線+植栽マスを挟んで、それぞれに
副道がついている、花園町通りを改変する実験です。
通りの中央には、市内電車(路面電車)が走っています。


両側の車線を、少しゆとりのある片側1車線ずつにへらして、
その分、自転車専用道と活動空間を創出して、
歩行者の移動空間を増やし、「歩いて快適で楽しい」空間づくりを実験しています。


元々歩道におかれていた駐輪場もその中におさめて、その分、歩行空間を広げています。
普段は、こっそり歩道を走る自転車も、この日は、しっかり押して進みます。


中央に設けられた活動空間には、芝生の空間とデッキ空間を設け、


これらの活動空間では、土日を中心に、さまざまな活動が展開されています。


夜は、イルミネーションが点灯され、
にぎわいある飲食空間としての実験も行われています。


まちは、複合的であり、様々な利用者にとっては、メリットとデメリットが共存しています。
ある人には、よいことでも、ある人には、困ることや無関心なこともあります。

しかし、何よりも、まずは、関心が生まれること、これを基にどうあるべきか、
考えること、そのために、少しずつでも前に進むこと、とても大切なことです。

人口が減少に向かう今後の日本の都市空間。
これまでのような建築物(床面積)が価値を生み出す社会から、
むしろ、外部空間(空地)、公共空間をどのように、みんなで豊かなものとして創れるか、
そのために、個だけを考えるのではなく、少し個の力も出し合いながら、
みんながどれだけ価値を分け合って共有できるかが、
都市の価値を生み出す源泉になるのではないでしょうか。

そして、地域の学生さんたちともに、まちあるき+通りの将来を考える会。
フレッシュで、将来を見つめる様々なアイデアが提示されました。
こうした想いを少しでも込められた都市空間の創出がなされることを願います。






2012年10月15日月曜日

Open Architecture!

10月13日(土)、日本のオープンハウスイベントの一つともいえる、Open Architecture!の
イベントに参加してきました。
Open Architecture!は、今年で5回目になるイベントですが、
日本(主に東京周辺)にある名建築、デザイン建築、歴史的建造物などを中心に、
20-30施設がツアーとして特別公開されるイベントです。


HPにて、公開されている施設を確認しながら、主に有料ですが、予約して参加します。
(定員が約20-30名)
今回、千葉県の土気のニュータウンにある、「ホキ美術館」の公開に参加してきました。

Open Architecture!では、必ず公開施設にゆかりある方が、その想いを踏まえた解説
をしてくださるというのが特徴です。今回は、美術館の設計者である、
日建設計の(エース!)、山梨和彦さんの解説によるツアーでした。

 
 
この美術館は、(医療機器関係の会社を営まれる)オーナーによる個人美術館で、
ご自身が集められた「写実絵画」専門の美術館です。
一見、ハイアートから離れつつある写実絵画が持つ、本当のよさ、本物性を伝えるために
ご自身の想いのつまった美術館となっていました。
オーナーが土気というまちに暮らしながら会社も成功する中で、地域に恩返ししたい
という想いも込められていたそうで、2万人/年を予想していたら、実際には、
20万人/年もの方が訪れているそうです。


解説ツアーでは、こうした想いを受けながら設計者が何を考えて設計したか、
写実絵画の良さを存分に引き出すためには、建築物はできうる限り具象を排除して
背景に徹すること、そのために、目地やつなぎ目がなるだけでなくなるような工夫、


手すりを手すりとおもわせないためのデザイン


ピクチャーレール一つ出てこないようにするとともに、
建物のチューブを鉄としてマグネットで自由に絵画を飾ることのできるような工夫、

目的を持った人たちが来るエントランスはシンプルに、
昭和の森という緑地に訪れた人たちには、中の様子が見えながら目に留まるデザインの工夫、

道路の舗装もデザインの一部になるような素材的工夫、
メンテナンスを頻繁にしなくてもいいような草花の選定、


風や風景が抜けるような隙間の挿入や、構造的な安定と揺れを抑えるマスダンパーの工夫など、

様々な工夫と想いを伺いながら、見学することで、建築物や美術館のよさ、
これが出来上がる背景や想いを感じながら見学することができました。

以前、オープンハウスロンドンを紹介しましたが、オープンハウスロンドンでの趣旨は、
「市民のデザイン教育」、つまり、いかに個々の建築物などにおける高質なデザイン(工夫)が
まちを活気あるものにしているかということを伝えることにあるというのが、創始者のお話しでした。

空間や場所を享受する側もこれを生み出す側も工夫を凝らして、
豊かなまちの一部にかかわることを考えるような状況が生み出されることを
目指してゆければと思います。

2012年10月14日日曜日

モノまちカフェで大田を語る

本日【10/14(日)】は、ニイハオの餃子や汐焼きそばの香り漂う、
「おおた商い観光展2012」が開催されました。

おおたオープンファクトリーや区のものづくり観光の展示も行われ、会場は区民で大盛況。
 
 
その中の一企画であった、ワークショップ「モノまちカフェで大田を語る」
が開催されました。

墨田区の「すみだモダン」や「ものづくりコラボレーション」の仕掛け人や、
川崎市の工場夜景ツアーの仕掛け人をお呼びして、
そしhて、こちらは、首都大岡村先生による「おおたオープンファクトリー」
のプレゼンテーションを交えながら、
モノづくりのまちの可能性についてディスカッションが行われました。

残念ながら、参加者は多くありませんでしたが、少人数ながらも、
モノづくりのまちの将来について、観光への広がり、デザインマッチングの取組み、
区域や県域を越えた連携の話や、一斉に行う「オープンファクトリーの日」の話が出るなど、
非常に濃密な議論が行われました。

2012年10月13日土曜日

モビリティデザインカフェ開催

tvk(テレビ神奈川)および、UDCY(アーバンデザインセンター横浜)
「furrure cafe」の一環として行われる、「モビリティデザインカフェ『未来の横浜の移動空間を考える』」
というワークショップがが開催されます。
 
まずは、2012年10月21日(日)および10月28日(日)の2回、
そして、11月から1月までに3回、計5回予定されています。
 
最初の二回は、横浜市の信時環境未来都市推進担当理事を中心に、
「ヨコハマ宝さがし」を中心としたワークショップが予定されています。
 

是非、御参加ください。

2012年10月12日金曜日

横浜建築都市学Fと市民公開講座

横浜国立大学都市イノベーション学府では、「横浜建築都市学S/F」という、
都市のイノベーションについて考えるオムニバス講義が行われています。
今年度は、「都市は何を創造できるのか」をテーマに掲げて、建築、都市、芸術文化
から各講師の先生との講演、対談、対話が行われています。

秋学期からも、「横浜建築都市学F」が行われます。
予定では、都市関連分野ですと、「地球シミュレーター」という、地球の気候現象を
すべて統合的に再現可能なシミュレーションの開発などにかかわられている、
高橋桂子氏(独立行政法人海洋研究開発機構)や、
アートによる地域再生で活性化を図る、黄金町エリアマネジメントセンターの山野真悟氏、
その他、憲法学者と都市について考えるなど、様々な観点からの創造性が語られます。

また、10/23(18時-20時30分)は、中でも「市民公開講座」ということで、
YCC(ヨコハマ創造都市センター)にて、公開で講義が行われます。
「都市の変容を見つめる」ということで、映画監督の「黒沢清氏」をゲストにお招きして、
本学都市イノベーション研究院長であり、映画論等をご専門とされている梅本洋一教授、
そして、建築家でもある本学府Y-GSAご担当の藤原徹平准教授を聞き手とした、
興味深い講義となりますので、ぜひ、ご参加ください。

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横浜建築都市学F2012
「都市の変容をみつめる ~映画監督 黒沢清の近作から~」

日時:2012年10月23日(火)18:00-20:30(17:30 開場)
会場:ヨコハマ創造都市センター(YCC)3Fスペース
    参加費無料(当日、先着順でのご入場となります。(150席))
アクセス:みなとみらい線「馬車道駅」1b出口、野毛・桜木町口(アイランドタワー連絡口)
    /JR・市営地下鉄「桜木町駅」徒歩5分/JR・市営地下鉄「関内駅」徒歩7分

横浜国立大学の都市をテーマとする大学院〈都市イノベーション学府〉。
本学府は、建築・都市基盤という都市のハードウェアに関わる分野と、
都市のマネージメントや文化などのソフトウェアに関わる分野とが協同し、
現代都市が抱える課題をテーマとして教育・研究、高度専門化の育成に取り組んでいる。
本講座はこの大学院の連携企画として開催する公開講座である。
都市を舞台に映画を撮影し続けてきた黒沢清監督。すでに大がかりなセットで映画撮影
などできない時代ではあるが、黒沢清監督の作品が、これほどまでに「都市の現在」を
照射するのはなぜなのか。『Cure』にせよ、『回路』にせよ、『叫』にせよ、『トウキョウソナタ』にせよ、
大都市の映像が常に背後に映っていた。そして次作『1905』の舞台になるのは1905年の横浜
である。黒沢清の映画と大都市の関係を解明したい。

講師:黒沢 清(映画監督/東京藝術大学大学院映像研究科教授)
聞き手:梅本洋一
    (映画評論家/横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院長/Y-GSC教授)
     藤原徹平(建築家/Y-GSA准教授)
主催:YCCスクール/横浜国立大学大学院都市イノベーション学府【IUI】
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2012年10月11日木曜日

おおた商い観光展とオープンファクトリー

大田クリエイティブタウン研究会(旧・モノづくり観光研究会)などが中心となって企画検討している、
町工場を一日一斉公開する取組みである、「おおたオープンファクトリー」。

昨年度は今年の2月に開催されましたが、第二回である、
今回は、「12月1日(土)」に開催されることが決まりました!
大田区の下丸子・武蔵新田周辺地区を中心にして、2-30の
町工場の協力による活動が企画されています。

詳細については、また決まり次第お伝えしていきます。

これに先立ちまして、10/14(日)の13時から、
大田区産業プラザ(Pio)で行われます「おおた商い観光展2012」の一企画として、
「モノまちカフェ」として、おおたオープンファクトリーを含めた
「モノづくりのまちづくり」に関するワークショップ(シンポジウム)を開催します。
「すみだブランド」と呼ばれるデザインコラボレーションを行った墨田区の担当者の方や、
川崎の産業観光の仕掛け人をお呼びして、「モノづくり観光」「モノづくりデザイン」
「モノづくりのまちづくり」について語り合いたいと思っておりますので、
興味のある方は、どしどしご参加ください。

http://www.pio-ota.jp/a-fair/2012/event/index.html

また、「おおた商い観光展2012」自体は、10/13-14の土日の二日間開催されており、
土曜日には、「もっともっといらっしゃい大田」ということで、
おおたの観光などを含めたプロモーションに関するシンポジウムもあります。
当研究会の岡村先生(首都大学東京)も出演されます。

http://www.pio-ota.jp/a-fair/2012/

こちらもどしどしご参加ください。

2012年10月2日火曜日

「アーバンデザインセンター」刊行!

アーバンデザイン研究会編著『アーバンデザインセンター 開かれたまちづくりの場』
(理工図書、2012.10)が刊行されました!

元横浜市都市デザイン室長で、元UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)センター長であり、
1990年代末から2000年代、東京大学の教授、そして、横浜市参与でもあられた
故北沢猛先生が推進してきた、アーバンデザインセンター運動の集大成です。


前UDCK副センター長であり、現芝浦工業大学教授の前田先生を中心に、
アーバンデザインセンター運動の潮流と過程について整理を試みたものです
(私も少し参加させていただいています)。

「アーバンデザインセンター運動」自体は、志半ばであり、
まだ定まった概念や場所ではありませんし、広く市民に広まったものでもありません。
しかしながら、既存のまちづくり、コミュニティとはちょっと異なり(内包してもいますが)、
コミュニティディベロップメントやリージョナルプランニングのみならず、
環境とか福祉、交通、その他あらゆる空間要素を統合的にとらえ、
ここに関わる様々な主体がフラット(同等の立場で異なる役割を通して)に参画する
姿を通して問題を解いてゆくという、チャレンジングな取組みでもあります。

本書では、アーバンデザインセンターが生まれる源流として、

【1】行政の都市デザイン:人間のための空間づくりから縦割りを横割りに
【2】まちづくりの展開:ボトムアップの参加型都市づくりへの道
【3】タウンアーキテクトのような「地域」での職能

について整理し、アーバンデザインセンターが発展する過程を、

1)組織論:連携による組織改革と主体のあり方
2)職能論:専門家のまちへのかかわり方
3)拠点論:アーバンデザインを実現する「場」のつくり方

という3つの視点でとらえ、これらをバランスよく有するセンターのあり方を探っています。

つまり、このセンターは、

(1)企業や大学など組織がお互いの力を持ち出しあうためのセンターでもあり、
(2)専門家が自立して働いてゆくためのセンターでもあり、
(3)市民が気軽に都市空間にアクセスするためのセンター、

そうした「場」が目指されています。
しかも、これらが国内外に多数できることで生まれるクラウドネットワーキングの相乗効果
も併せて狙っているものです(野原解釈)。

本書で紹介されている事例の多くは、上記の点からすると
完全なるアーバンデザインセンターではないのですが、
まちづくり、職能論、拠点論、組織論などからそれぞれがもつ特徴が生かされた
センターの事例は、参考になると思います。

著者割引もききますので、よろしくお願いします。

2012年9月24日月曜日

オープンハウスロンドンウィークエンド【ロンドン】

本日は、オープンシティ研究のメインディッシュ、オープンハウス・ロンドン・ウィークエンドです。
 
1992年に創設者のVictoria Thornton女史によって始められた、
2日間の、市内中一斉施設無料公開イベントです。今年で20年を迎えます。
 
無料である。
非営利である。
都市環境(空間)の質(デザイン)を示すものである。
 
という3原則を基に、都市内の複数建築・施設を一斉公開し、
市民が無料で見学可能な建築都市公開プログラムが開催されるものです。
 
今年は、9月22~23日の土日に開催されました。
750に及ぶ施設公開及びイベント(ツアーなど)が行われています。
公開される施設も、公共施設から個人の住宅まで、歴史的建造物から現代建築まで、
デザインクオリティーの高い、非常に幅広い建築物が開かれているのが特徴です。
 
まちを歩けば、至る所で、オープンハウスを開催している幕がかかっている施設に出くわします。

 
ということで、まずは、公開されている建物を訪れてみます。
 
学生時代、雑誌や資料集成を見ながら憧れた、建築家ノーマンフォスター卿の
オフィスが公開されていたので、オフィスを訪れてみました。
1990年に、テムズ川南岸の敷地に建てられ、目一杯、テムズ川の風景を採りこむ
ガラスの開口部が設けられたオフィスでは、スタッフが8人くらいで説明や見学の
サポートをしています(事務所では1100人、45ヶ国からのスタッフが働いているそうです)。
 
 
オフィスの前には、しっかり、オープンハウスの幕がかかっています。
 

 
残念ながら、室内の撮影は叶わなかったので、その様子は、
解説を聞いているあいだの殴り書きラフスケッチでお許しください。
 
 
オープンハウスを巡るには、オープンハウスの公開施設リストとなっている
ハンドブックを、数ポンドで手に入れる、もしくは、iPadなどのアプリで地図と施設の
紹介を見ながら回るなどの方法がとられます。


オープンハウス開催中は、町中に人々が溢れます。道端、地下鉄、いたるところで
このハンドブックを片手に、見るべき施設を選んでいる様子が見られます。
 
 
 
予約が必要な施設、並んでみられる施設など、様々ですが、
人気のある施設の前には、長蛇の列が出来上がります。
人気観光施設でもある「モニュメント」に並ぶ列、
 
 
リチャードロジャース設計のテクニカルなオフィスビル「ロイズオブロンドン」に並ぶ列、 
 
 
日曜日は冷たい雨が身体を冷やす日でしたが、
個人の邸宅公開にも、雨の中、大勢の人が並んで待っていました。
 
 
施設の中に入ると、どこの施設でもとても親切に対応してくれます。
お茶やお菓子を提供してくれるところ、
ボランティアが熱心に楽しく説明してくれるところ、
オーナー自ら語ってくれるところなどなど。
 
 
 
何軒か、個人の邸宅にもお邪魔しました。
個人のおうちですので、室内公開は控えさせていただきますが、
おうちのなかを惜しまず拝見させていただける、貴重な機会でした。
日常の使い手でもある娘さんも、お手伝いしながら大満足。
 
  
そして、個人的な目玉だったのが、60-70年代の社会住宅として名の高い、
「アレクサンドラロードの集合住宅」。
日本の雑誌や資料集成でもよく紹介されている集合住宅もオープンハウスに参加していました。
見た目は、ハードなデザインで、社会住宅でもあるので、
廃れていると思いきや、適度なスケール・密度感で、土曜の昼下がりに、
中央の道で遊ぶ子供や、バルコニーでビールを飲む方々が多くみられました。
 
 
 
 
そして、これまた、集合住宅のうちの1戸のご家庭がオープンハウスに参加しており、
このお部屋をのぞかせて頂きました。
雑誌では、都市的スケールのハードな計画だと思っていましたが、
室内はうって変わって、木の温かみのあるデザインや、スライディングドアによる日本的な空間、
狭小な室内を豊かにする、ソフトで工夫のこらされた様に感動しました。
 
***
 
なによりも、所有者も参加者もボランティアもみな熱心で、
建築物や都市空間への愛着と誇りをもって日々生活している様子、
この力が都市の魅力を生み出す源泉なのだなと改めて感じるとともに、
久々に、建築や都市に込められた情熱と工夫に触れて、
がんばらなきゃなと心を新たにするのでありました。
 

2012年9月21日金曜日

中庭の遺伝子【パリ】

「オ、シャンゼリゼ」、パリと言えば、シャンゼリゼ通りやグランブールバールのような大通りと、
オペラ座、凱旋門などの通りと通りのノードとなる広場、そして、
それを取り囲む石造の歴史的な街並みの数々が思い起こされますが、
実はパリの都市空間を豊かにしているものの一つに、「中庭」があります。
通りや広場のみならず、これらを構成するための街並みまでもが公共財として
捉えられ、かつ、隣の建物と壁を共有することが認められている中では、
建物は街区や敷地の境界線をなぞるように、沿道や外側一杯に広がって建てられます。
そんななかで、採光や外部空間を考えると、自然と内部に空地(=中庭)ができます。
  
つまり、この中庭は、その地区の街区の形状や敷地割の空間構成に応じて形作られ、
大きな街区の地区には大きな中庭が、短冊状の敷地の並ぶ地区には細長い中庭が
できてゆきます。
歴史的な都市組織(tissue urbain)を大切にするパリでも、戦後の都市開発の動きの中で、
こうした沿道-中庭の空間構成は忘れ去られ、街区の中央に超高層が建てられていました。
そんな中で、建築家たち(クリスチャンドポルザンパルクなど)は、こうした都市組織を下敷き
としながら、現代的な都市空間を創出するための実験的な試みを行ってきています。
その中の一つに、ベルシー地区(Bercy)の再開発があります。
パリの東側、セーヌ川付近は、かつては工業地帯や交通空間として使われていた下町です。
1990年代に再生されたこの地区には、かつてワイン倉庫が建ち並ぶ町はずれでもありました。
(現在ではこうした倉庫などが再生され商業施設として活かされています)。



そして、ワイン倉庫を基にした公園沿いには、適度なリズムの沿道-中庭型集合住宅が並びます。
マスターアーキテクトを中心とした6-7層程度の中庭型集合住宅ですが、上記のような
中庭がもつ潤いを大切にしながらも、新たな街並みや開放性、連続性を獲得するために、
公園側のファサードには、何カ所かの切込みを入れて、中庭を垣間見させるとともに、
それらを数層に一つ、連続的に続くバルコニーを設置して、水平的な連続感も維持するような
デザインコードが設けられ、これを基に、それぞれの街区を建築家が設計しています。


そして、さらに、セーヌ川の対岸(セーヌ左岸)にも、再開発の波は広がっています。
森の緑を移植した中庭を、4冊の本が取り囲むようなミッテラン図書館(ドミニクペロー)
が輝くこのエリアは、Paris Rive Gauche(セーヌ川左岸開発)と呼ばれ、
2000年頃から始まり、現在も進行中の開発が進んでいます。


ちなみに、この中庭は、周囲が再開発で高密度化が進んでいった場合にも、
外部空間が残されるようにという設計意図の基に設けられています。
そして、近年、その予想通りに、図書館の周辺には、住宅ーオフィスの開発が進んでいます。
セーヌ左岸では、ベルシーのような中庭型のデザインコードがあるというよりも、
高層や低層が入り乱れるコンポジション(空間構成)を有していますが、
コの字に囲む住宅の内側に公園が貫入したり、大きな公園を各街区が取り囲むなど、
開発空間と公共空間がともに貫入しあうことで相乗効果を狙っているように思われます。

また、かつての工業・物流空間の面影も所々に残されている点が、現代的な開発です。
倉庫もリノベーションされ、大学として再生されており、新学期を迎える学生でにぎわっています。

 
このように、建物や開発の様式は現代的なものとなりながらも、中庭という
半公共的な空間の遺伝子は、開発にも受け継がれているようです。