2012年10月15日月曜日

Open Architecture!

10月13日(土)、日本のオープンハウスイベントの一つともいえる、Open Architecture!の
イベントに参加してきました。
Open Architecture!は、今年で5回目になるイベントですが、
日本(主に東京周辺)にある名建築、デザイン建築、歴史的建造物などを中心に、
20-30施設がツアーとして特別公開されるイベントです。


HPにて、公開されている施設を確認しながら、主に有料ですが、予約して参加します。
(定員が約20-30名)
今回、千葉県の土気のニュータウンにある、「ホキ美術館」の公開に参加してきました。

Open Architecture!では、必ず公開施設にゆかりある方が、その想いを踏まえた解説
をしてくださるというのが特徴です。今回は、美術館の設計者である、
日建設計の(エース!)、山梨和彦さんの解説によるツアーでした。

 
 
この美術館は、(医療機器関係の会社を営まれる)オーナーによる個人美術館で、
ご自身が集められた「写実絵画」専門の美術館です。
一見、ハイアートから離れつつある写実絵画が持つ、本当のよさ、本物性を伝えるために
ご自身の想いのつまった美術館となっていました。
オーナーが土気というまちに暮らしながら会社も成功する中で、地域に恩返ししたい
という想いも込められていたそうで、2万人/年を予想していたら、実際には、
20万人/年もの方が訪れているそうです。


解説ツアーでは、こうした想いを受けながら設計者が何を考えて設計したか、
写実絵画の良さを存分に引き出すためには、建築物はできうる限り具象を排除して
背景に徹すること、そのために、目地やつなぎ目がなるだけでなくなるような工夫、


手すりを手すりとおもわせないためのデザイン


ピクチャーレール一つ出てこないようにするとともに、
建物のチューブを鉄としてマグネットで自由に絵画を飾ることのできるような工夫、

目的を持った人たちが来るエントランスはシンプルに、
昭和の森という緑地に訪れた人たちには、中の様子が見えながら目に留まるデザインの工夫、

道路の舗装もデザインの一部になるような素材的工夫、
メンテナンスを頻繁にしなくてもいいような草花の選定、


風や風景が抜けるような隙間の挿入や、構造的な安定と揺れを抑えるマスダンパーの工夫など、

様々な工夫と想いを伺いながら、見学することで、建築物や美術館のよさ、
これが出来上がる背景や想いを感じながら見学することができました。

以前、オープンハウスロンドンを紹介しましたが、オープンハウスロンドンでの趣旨は、
「市民のデザイン教育」、つまり、いかに個々の建築物などにおける高質なデザイン(工夫)が
まちを活気あるものにしているかということを伝えることにあるというのが、創始者のお話しでした。

空間や場所を享受する側もこれを生み出す側も工夫を凝らして、
豊かなまちの一部にかかわることを考えるような状況が生み出されることを
目指してゆければと思います。

2012年10月14日日曜日

モノまちカフェで大田を語る

本日【10/14(日)】は、ニイハオの餃子や汐焼きそばの香り漂う、
「おおた商い観光展2012」が開催されました。

おおたオープンファクトリーや区のものづくり観光の展示も行われ、会場は区民で大盛況。
 
 
その中の一企画であった、ワークショップ「モノまちカフェで大田を語る」
が開催されました。

墨田区の「すみだモダン」や「ものづくりコラボレーション」の仕掛け人や、
川崎市の工場夜景ツアーの仕掛け人をお呼びして、
そしhて、こちらは、首都大岡村先生による「おおたオープンファクトリー」
のプレゼンテーションを交えながら、
モノづくりのまちの可能性についてディスカッションが行われました。

残念ながら、参加者は多くありませんでしたが、少人数ながらも、
モノづくりのまちの将来について、観光への広がり、デザインマッチングの取組み、
区域や県域を越えた連携の話や、一斉に行う「オープンファクトリーの日」の話が出るなど、
非常に濃密な議論が行われました。

2012年10月13日土曜日

モビリティデザインカフェ開催

tvk(テレビ神奈川)および、UDCY(アーバンデザインセンター横浜)
「furrure cafe」の一環として行われる、「モビリティデザインカフェ『未来の横浜の移動空間を考える』」
というワークショップがが開催されます。
 
まずは、2012年10月21日(日)および10月28日(日)の2回、
そして、11月から1月までに3回、計5回予定されています。
 
最初の二回は、横浜市の信時環境未来都市推進担当理事を中心に、
「ヨコハマ宝さがし」を中心としたワークショップが予定されています。
 

是非、御参加ください。

2012年10月12日金曜日

横浜建築都市学Fと市民公開講座

横浜国立大学都市イノベーション学府では、「横浜建築都市学S/F」という、
都市のイノベーションについて考えるオムニバス講義が行われています。
今年度は、「都市は何を創造できるのか」をテーマに掲げて、建築、都市、芸術文化
から各講師の先生との講演、対談、対話が行われています。

秋学期からも、「横浜建築都市学F」が行われます。
予定では、都市関連分野ですと、「地球シミュレーター」という、地球の気候現象を
すべて統合的に再現可能なシミュレーションの開発などにかかわられている、
高橋桂子氏(独立行政法人海洋研究開発機構)や、
アートによる地域再生で活性化を図る、黄金町エリアマネジメントセンターの山野真悟氏、
その他、憲法学者と都市について考えるなど、様々な観点からの創造性が語られます。

また、10/23(18時-20時30分)は、中でも「市民公開講座」ということで、
YCC(ヨコハマ創造都市センター)にて、公開で講義が行われます。
「都市の変容を見つめる」ということで、映画監督の「黒沢清氏」をゲストにお招きして、
本学都市イノベーション研究院長であり、映画論等をご専門とされている梅本洋一教授、
そして、建築家でもある本学府Y-GSAご担当の藤原徹平准教授を聞き手とした、
興味深い講義となりますので、ぜひ、ご参加ください。

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横浜建築都市学F2012
「都市の変容をみつめる ~映画監督 黒沢清の近作から~」

日時:2012年10月23日(火)18:00-20:30(17:30 開場)
会場:ヨコハマ創造都市センター(YCC)3Fスペース
    参加費無料(当日、先着順でのご入場となります。(150席))
アクセス:みなとみらい線「馬車道駅」1b出口、野毛・桜木町口(アイランドタワー連絡口)
    /JR・市営地下鉄「桜木町駅」徒歩5分/JR・市営地下鉄「関内駅」徒歩7分

横浜国立大学の都市をテーマとする大学院〈都市イノベーション学府〉。
本学府は、建築・都市基盤という都市のハードウェアに関わる分野と、
都市のマネージメントや文化などのソフトウェアに関わる分野とが協同し、
現代都市が抱える課題をテーマとして教育・研究、高度専門化の育成に取り組んでいる。
本講座はこの大学院の連携企画として開催する公開講座である。
都市を舞台に映画を撮影し続けてきた黒沢清監督。すでに大がかりなセットで映画撮影
などできない時代ではあるが、黒沢清監督の作品が、これほどまでに「都市の現在」を
照射するのはなぜなのか。『Cure』にせよ、『回路』にせよ、『叫』にせよ、『トウキョウソナタ』にせよ、
大都市の映像が常に背後に映っていた。そして次作『1905』の舞台になるのは1905年の横浜
である。黒沢清の映画と大都市の関係を解明したい。

講師:黒沢 清(映画監督/東京藝術大学大学院映像研究科教授)
聞き手:梅本洋一
    (映画評論家/横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院長/Y-GSC教授)
     藤原徹平(建築家/Y-GSA准教授)
主催:YCCスクール/横浜国立大学大学院都市イノベーション学府【IUI】
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2012年10月11日木曜日

おおた商い観光展とオープンファクトリー

大田クリエイティブタウン研究会(旧・モノづくり観光研究会)などが中心となって企画検討している、
町工場を一日一斉公開する取組みである、「おおたオープンファクトリー」。

昨年度は今年の2月に開催されましたが、第二回である、
今回は、「12月1日(土)」に開催されることが決まりました!
大田区の下丸子・武蔵新田周辺地区を中心にして、2-30の
町工場の協力による活動が企画されています。

詳細については、また決まり次第お伝えしていきます。

これに先立ちまして、10/14(日)の13時から、
大田区産業プラザ(Pio)で行われます「おおた商い観光展2012」の一企画として、
「モノまちカフェ」として、おおたオープンファクトリーを含めた
「モノづくりのまちづくり」に関するワークショップ(シンポジウム)を開催します。
「すみだブランド」と呼ばれるデザインコラボレーションを行った墨田区の担当者の方や、
川崎の産業観光の仕掛け人をお呼びして、「モノづくり観光」「モノづくりデザイン」
「モノづくりのまちづくり」について語り合いたいと思っておりますので、
興味のある方は、どしどしご参加ください。

http://www.pio-ota.jp/a-fair/2012/event/index.html

また、「おおた商い観光展2012」自体は、10/13-14の土日の二日間開催されており、
土曜日には、「もっともっといらっしゃい大田」ということで、
おおたの観光などを含めたプロモーションに関するシンポジウムもあります。
当研究会の岡村先生(首都大学東京)も出演されます。

http://www.pio-ota.jp/a-fair/2012/

こちらもどしどしご参加ください。

2012年10月2日火曜日

「アーバンデザインセンター」刊行!

アーバンデザイン研究会編著『アーバンデザインセンター 開かれたまちづくりの場』
(理工図書、2012.10)が刊行されました!

元横浜市都市デザイン室長で、元UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)センター長であり、
1990年代末から2000年代、東京大学の教授、そして、横浜市参与でもあられた
故北沢猛先生が推進してきた、アーバンデザインセンター運動の集大成です。


前UDCK副センター長であり、現芝浦工業大学教授の前田先生を中心に、
アーバンデザインセンター運動の潮流と過程について整理を試みたものです
(私も少し参加させていただいています)。

「アーバンデザインセンター運動」自体は、志半ばであり、
まだ定まった概念や場所ではありませんし、広く市民に広まったものでもありません。
しかしながら、既存のまちづくり、コミュニティとはちょっと異なり(内包してもいますが)、
コミュニティディベロップメントやリージョナルプランニングのみならず、
環境とか福祉、交通、その他あらゆる空間要素を統合的にとらえ、
ここに関わる様々な主体がフラット(同等の立場で異なる役割を通して)に参画する
姿を通して問題を解いてゆくという、チャレンジングな取組みでもあります。

本書では、アーバンデザインセンターが生まれる源流として、

【1】行政の都市デザイン:人間のための空間づくりから縦割りを横割りに
【2】まちづくりの展開:ボトムアップの参加型都市づくりへの道
【3】タウンアーキテクトのような「地域」での職能

について整理し、アーバンデザインセンターが発展する過程を、

1)組織論:連携による組織改革と主体のあり方
2)職能論:専門家のまちへのかかわり方
3)拠点論:アーバンデザインを実現する「場」のつくり方

という3つの視点でとらえ、これらをバランスよく有するセンターのあり方を探っています。

つまり、このセンターは、

(1)企業や大学など組織がお互いの力を持ち出しあうためのセンターでもあり、
(2)専門家が自立して働いてゆくためのセンターでもあり、
(3)市民が気軽に都市空間にアクセスするためのセンター、

そうした「場」が目指されています。
しかも、これらが国内外に多数できることで生まれるクラウドネットワーキングの相乗効果
も併せて狙っているものです(野原解釈)。

本書で紹介されている事例の多くは、上記の点からすると
完全なるアーバンデザインセンターではないのですが、
まちづくり、職能論、拠点論、組織論などからそれぞれがもつ特徴が生かされた
センターの事例は、参考になると思います。

著者割引もききますので、よろしくお願いします。