去る2013年8月30日~9月1日まで、日本建築学会北海道大会が札幌にある
北海道大学で開催されました。
「創(つくる)」をテーマにした今大会では、例年同様の多くの発表が行われたほか、
多くの研究懇談会・協議会・パネルディスカッションでは、復興にかかわるものも多く、
都市計画のセッションでは、釜石・石巻の最新情報も提供されました。
学会に関しては、そこそこにして(昨年度のブログ「楽しい学会の見方・調べ方」参照)、
その間に訪れた、いくつかの都市について。
札幌は、いうまでもなく、北海道一の中心都市であり、駅前から大通公園、繁華街すすき野まで、
比較的コンパクトに(と言っても、街区ごとの距離は遠い、60間グリッド)まとまっています。
雪の都市ですから、表もさながら、アトリウムや地下街など、雪や寒さをしのぐエリアも
発達しています。
札幌駅から大通公園まで、中央を結ぶ大通りの下には、500m美術館とも呼ばれる、
各街区の地下沿道に、カフェや展示スペースを設けた地下街に出くわします。
各街区では、この地下道に接続する部分にそれぞれの工夫を施してにぎわいを配置しています。
その一方で、地上でもまちづくり会社が、近年緩和された、占用許可の枠組みを活用して、
仮設店舗が常設的に設置されています。当日は、また他の団体によって、
ホコテン化したイベントもマネジメントされていました。
また、狸小路の先では、ちょっとお店の前に机椅子も出してにぎわいを創出したりも
しています。冬は難しいかもしれませんが、
だからこそ、逆に、少ない夏を楽しむ魅力づくりも大事かもしれません。
「創成」川は、開拓の祖とも呼ばれる大友亀太郎による大友堀を基として、
札幌が北海道開拓の拠点として整備される際に、その南北にまっすぐの堀を中心軸として
整備され、これを基に東西南北の方形60間(108m)グリッドの開拓都市がつくられました。
これに直交する火防線として東西方向に設けられた大通から北が官庁街、
南が繁華街となりました(なので、方形グリッドは、南では二つに割れています)。
その創成川は、片道4車線の道路に囲まれて、アクセスが困難な場所となっていましたが、
近年、半分の2車線ずつをアンダーパスとする事業も行われ、アクセスしやすいような
創成川公園が生まれたとともに、プロジェクションマッピングをはじめ、
いろんな展開が進んでいます。
近年では、この創成川以東を創成川EASTとして、今後何か起きそうな予感だそうです。
方形グリッドがそのままなところ(札幌、新しくつくった幕張【80m四方+18m=98mグリッド】)、
札幌の南や京都(札幌も住所割りなどは京都を参照してますが)、大阪(40間グリッド)の二つ割、
江戸の三つ割(入会地を含めた三枚おろし)グリッドなどには、都市の差はあるかななんて
興味も尽きませんが、北海道開拓都市のそれぞれも興味深いです。
岩見沢では、まちを巡る時間はありませんでしたが、どうもこちらのグリッドは一回り
小さいもののようでした。しかしながら、想像以上に都市の大きさが大きい!
岩見沢駅舎(設計:ワークビジョンズの西村浩さん)は輝いていました。
旭川は、こちらも新しい駅舎(設計:内藤廣さん)ができて、思ったより温かい内部空間も見えつつ、
川辺とまちがつながる軸線、旭川買物公園の現状なども目の当たりにしました。
通りのベンチには、結構座っている地域の方が多かったりしますが、
ちょっとしたコーヒーカフェの手前には、自然と人が寄ってきます。
こちらも大きなグリッドが二枚おろしになってますが、やはり、都市の範囲はとても大きく、
街区の内側は空地化して厳しい状況になっています。
しかし、一方で、周辺に広がる豊かな緑空間、雪国に特徴的なアトリウム的空間、
僅かながら魅力を放つ、路地的繁華街空間、点在するひそかなラーメン店など、
まちを巡りながら、例えば、間の空地を通って、下手すればまっすぐあるけるので、
現在駐車場となっている空間同士をつないで、時に緑も挿入し、時には仮設も用いながら、
新たなネットワークができないかなとか、アトリウム同士も繋いでなんとか新たな
動線ができないかなとか、コンパクトにしながら、何かをかえていく仕組みを妄想して
しまいます。
開拓を基にしたグリッドの上に、新たな「糸」を挿入する、都市の「糸」が
都市の「系」をつくる、そんなエリアリノベーションができるといいなと思います。
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