2013年4月14日日曜日

『まちづくり:デッドライン』

しばらく、ブログ更新をさぼっておりました。

さて、今年度第一回目の更新は、先ほど読了した書籍です。

木下斉・広瀬郁『まちづくり:デットライン 生きる場所を守り抜くための教科書』
(2013年、日経BP者)

山崎亮さんに続く(?)、学生さんからの指示の厚いコミュニティデザイナー(??)であり、
AIA(一般社団法人エリアイノベーションアライアンス)代表理事でもある、
木下斉(ひとし)さんの共著書であるこの本は、まちづくりを考える上での考え方が、
一般の誰でもわかるように非常にわかりやすく、かつ、整理されて示されています。

一つ一つの内容は、全てが革新的な新たなものというわけではないですが、
まちが現在の状態にある原因と結果をきちんと読み取り、一つ一つどのように
進めてゆくべきか、丁寧に整理されており、かつ、重要な本質も述べられています。

まちなかのシャッター通りは本当に衰退しているか?
郊外やネットにまちなかは負けているのか?(何が違うのか?)
なぜチェーン店ばかりなのかなど、わかりやすく解説しています。

現状のまちの課題を「点」としてとらえるだけでなく、時間的経過を連続的にとらえつつ、
その変曲点で大きく方向性が変わってきていること、
この変化に追い付けずに以前の体制からシフトチェンジできていないこと、
そのために、以前のよかれが、現在の障壁になっていることも
あることなども示されていると同時に、それらを活力あるものにするために、
経営的視点から事業体として考えてみることも示されています。

一方で、あとがきには、まち(まちづくり事業)の本質として、
「その場所から移動できないこと」も示されています。
失敗したら、他の場所に行けばよいチェーン展開にはないこの経営的特徴をどう活かすか。
だからこそ、きめ細やかな地域資源へのまなざしと愛着がカギになるとも言えます。

そして、どの成功事例にも、小さな事務所やコンサル、諸々の世界の専門家が、
「小さな大活躍」をしていることがわかります。
彼らが、正に地域の「コミュニティデザイナー」だと言えますが、彼らがそうだとすれば、
それは、あくまで結果であり、そのプロセスは、一様ではないかもしれません。
つまり、いきなり明日からコミュニティデザイナーになる道があるというよりも、
その情熱と資源へのまなざしと技術獲得を様々な形でし続けてきた結果なのかもしれません。

自分の力に合わせて、時には道を変えながら、どのルートで登るか考える、登山家のように。

険しい山は、各所にたくさんあるので(笑)、登り放題、登り甲斐がありますね。
皆さんは、どのルートから、この山を登りますか?







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