2014年4月11日金曜日

環境都市デザインスタジオS2014開始。

横浜国立大学大学院都市イノベーション学府建築都市文化専攻では、
大学院の中でも、実践的「スタジオ」教育が行われています。

建築系では、建築の構造に関するスキルを高める「建築構造工学(SE)スタジオ」
歴史や計画に関わる「建築理論(AT)スタジオ」とありますが、都市環境系では、
「環境都市(UE)デザインスタジオ」を開講しています。

今年度も、「環境都市デザインスタジオ」が始まりました。



今年度のテーマは、「創造的郊外」。
横浜市・相鉄HDさんとも連携して、相鉄いずみ野線沿線の郊外まちづくりを考えます。

横浜市は、高度経済成長期、あふれる都市人口を吸収する、いわばベットタウンとして
整備された郊外住宅地が多数存在していますが、縮減時代にさしかかった現在、
これらをどのように再編・継承・縮小してゆくかが問われています。

これまで、横浜に豊かに存在した郊外の谷戸、丘陵地を削ってつくってしまった
郊外住宅地、今度はここに人がいなくなるようになってしまったら…、
あるいは、もしも、ここに次世代型の住宅地を再編するとしたら、既存の自然や地形は
どうインテグレイトできるのか。

昭和30年代~特に50年代を中心に形成された、ある程度住宅地形成理論の実践が
行われた住宅地を再評価(よくも悪くも客観的に)し、次世代へのあり方を考える、
(そこには、様々な住宅地形成技術が積み重ねられています)、

あるいは、市域の1/4を市街化調整区域として保全してきた横浜市において、
これまでは、「抑制区域」として守るだけだったこのエリアを
どのように「(市街化せずに)使う」のか、

あるいは、低炭素社会に向けて、パッシブエネルギーやそのマネジメントによって
どのように次世代型の市街地形成ができるのか、期待されます。

ぜひ、これからの都市生活、都市社会に一石を投じつつ、
実践にも結びつく、豊かな提案が出てくることを期待するばかりです。

4月11日(金)には、現地見学会を行いました。



それぞれ、住宅地は異なるようで微妙な差異があります。

歩行者専用道やフットパス、二段階植栽といった住宅地形成技術、
駅前の協調新築?であった山本理顕さんの作品でもある緑園都市駅前の諸建物
こうしたエレメントも魅力を放っています。
 
一見同じように見えるけれど、微妙に異なる住宅地のあり方、再編に向けてのヒント、クリエイティブな解法…エリアリノベーションのあり方・・・今後、一緒に考えていきたいと思います。
 
 
 

2014年4月5日土曜日

Project List 2014

さて、諸事情によりしばらくお休みしておりまして、申し訳ありませんでした。

今年度予定のUrban Design Project & Research Listです
(全てではありません)。

1.■「大田クリエイティブタウン研究会」(東京都大田区)【2009~】
 首都大学東京・東京大学・横浜国立大学・大田観光協会を中心にして、
 「モノづくりのまちづくり」に関するプロジェクト活動を進めています。
 超高度なモノづくり技術を内包しながらも経済状況により将来像の見えない中、
 都市の「価値」をクリエイトする新たなまちのあり方を考えています。

 ▼おおたオープンファクトリー:年一度の町工場一斉公開イベント 
 ▼「くりらぼ(クリエイティブタウンラボ)多摩川」運営:町工場を改修した創造活動拠点
 ▼クリエイティブタウンデザインセンター設置検討など
 ▼モノづくりのまちの不動産ストック研究・工場町家研究・工場アパート研究

 詳しくは、

  http://www.comp.tmu.ac.jp/ssm/mono/openfactory.html

 へGo!

2.■ストリートマネジメントを考える(みち-まちプロジェクト)
1)■復興市街地のストリートマネジメント(石巻市市役所大通り)【2013~】
 被災地復興の事業として行われる、中心市街地の土地区画整理事業・街路拡幅に伴う、
 街路・沿道地域再生、空地マネジメントの検討です。
 昨年度は地域の方々と「まちづくり手帖」を作成しました。今年度はこれを受けて、実際の
 空間整備や活動展開の段階に入ります。

2)■旧東海道の景観・にぎわいづくり(IN BETWEEN CITY PJ:横浜市保土ヶ谷区)【2013~】
 横浜国立大学のおひざ元、保土ヶ谷区は、都市でもない郊外でもない、「間にある都市」。
 しかし、そんな保土ヶ谷ならでは魅力はここそこに眠っています。中長期的には、保土ヶ谷区
 のビジョン策定を見据えつつ、今年度は、旧東海道のにぎわいづくりを検討します。
 地域実践教育研究センターとともに進めるプロジェクトです。
 ▼保土ヶ谷西口商店街(旧東海道)での「ほどわごん」設置検討
 ▼地域資源の発掘と再活性化のための「ほどほどマップ」「がやがやツアー」の検討
 などを検討中です。

3)□「くらにわ」プロジェクト(福島県喜多方市)【2005~】
 磐梯山の奥、飯豊連峰に囲まれた会津盆地にある蔵とラーメンで著名なまち。
 こちらも2005年からいろんなまちづくり活動のお手伝いをしてきました。
 市街地の中心ストリートふれあい通りや小田付蔵通り近辺の「くらにわ」検討や
 「みち」と「まち」の関係について考えてゆきます。

4)□松山市のあるいて暮らせるまちづくり(愛媛県松山市)【2011?~?】
 「あるいて暮らせるまちづくり」を標榜して、コンパクトな都市像を打ち立てる松山市の
 まちづくり戦略をお手伝いしています。今年度はお休みかも。

3.■郊外住宅地の未来を考える(横浜市・相鉄HD)【2013~】
 相鉄いずみ野線沿線において、縮減時代における新たな郊外都市ビジョンを検討し、
 民間企業(相鉄HD等)とも協働して、新たなプロジェクトを検討します。
 新たな住宅地デザインの再編、農的空間の暮らし、そこでの環境ライフなどを考えます。
 大学院「環境都市デザインスタジオ」とも連動。

4.■「中山間地域の再編:地域マネジメント計画づくり&実践」(岐阜県高山市)【2008~】
 毎年、少しずつテーマや場所は異なりますが、いろんなお手伝いをしています。
 H22年度は、荘川町一色惣則地区(荘川式の合掌造りや豊かな水のある農村集落)
 H23-25年度は、上宝町長倉地区(「天空の城」ともいうべき斜面にはりつく農村集落)を舞台に、
 持続的な地域のあり方を考える、地域マネジメント計画を、地域の方々と考え、近年は、
 その中でも、地域の方々に人気のあった「うちあかり」という取組の実践に向けて動きました。
 今年度は、地域計画のあり方モデル研究と、移動販売に関する検討を考えています。

5.□岩手県九戸郡洋野町(旧大野村)【2003~】
 「芝棟」と呼ばれる草の生えた棟をもつ茅葺民家が70棟近く残る中山間地域です。
 2003年から、地域づくり活動のお手伝いをしています。
 昨年度は、本学の建築史建築芸術研究室とともに、
 壊れてなくなってしまいそうな茅葺を修復するための技術を取り戻すための講習会を実施。
 今年度はまだ未定です。。。

【研究】
A. 大田区景観まちづくりに関する制度支援関連研究
→これに関連した、景観計画・景観条例等制度に関連する「表彰制度」の実態と効果

B.Open City研究
→建築をまちに「開く」取組みに関する研究
→建築・都市を一斉に公開するオープンシティイベント研究【季刊まちづくり37号参照】


C.国内外の創造都市研究

D.「地域ガバナンスと都市デザインマネジメント」資料収集

ということで、今年度もよろしくお願いいたします。

2014年3月13日木曜日

石巻市「市役所大通りまちづくり手帖」



昨年(2013年)の5月末より、東北大学の姥浦先生、地域のまちづくり会社
株式会社街づくりまんぼうとともに、石巻の復興まちづくりの中でも、
「市役所大通り」と呼ばれる通りのまちづくりのお手伝いをしています。

市役所大通りは、石巻駅からまちなかをつなぐメイン商店街である
立町商店街から一本曲がり、アイトピア通りという通りの先、
(かつてはその先に市役所があったのですが、現在は、移転しています)、
日和山へと向かう道の途中にある通りです。

これまで、道路の幅が10mであったところを、
17mの、避難のための機能も有する道として拡幅し、
周りと合わせて土地区画整理事業を行うというものです。

こうした、復興を目指した新たなまちづくりを進める上で、
地域の商店会のメンバーや地域の方々、
街づくりまんぼう、市役所等が一同に介して、
まちの将来像と、それに基づくみちづくりとまちづくりの
指針を話し合うというものです。

はじめは、みちづくりのまちづくりの事例紹介(2013年6月)、


将来像に関する話し合い、


 アイデアカードを用いたイメージ共有と投票(2013年7月)、


 動く模型を用いた、みち、まちの空間的な将来像の共有(2013年8月~)、


実際のみちと沿道にモックアップ(原寸大)をつくってみての確認…(2013年11月)
などをしながら、委員会で議論を重ねて、

そして、最終的に、「市役所大通りまちづくり手帖」という冊子として、
まとめました(2013年12月)。



なかなか、見えてこない、まちなか復興まちづくりのイメージに対して、

小さな地域ではありますが、地域とともに共有ができ始めています。

現在は、これを受けて、次の段階として、具体的な広場とか、
みちとか、沿道がどのようにつくられていくのか、
検討を始めている最中です。
特に、地域にできるみちと小さな広場や色彩などについて話し合っています。


あと、そもそも、もう、市役所は通りの前にはないので、新たな通りの名前も検討中です。

復興という大きな事業が分野別に進みはじめている中で、
これらが地域の中の魅力づくりの中にうまく落とし込まれる、
地域が様々な分野や事業をつないでゆく、そして、安心安全も備えた魅力的な地域に…、
そんな地域づくりになるといいと思います。


2014年2月16日日曜日

おおたオープンファクトリー2014

さて、以前の投稿で、台風のために中止となり(10/26)、リベンジすることをご報告した、
「おおたオープンファクトリー」が、2月15日に開催されました!

前夜から当日朝にかけて、大雪でしたので、開催自体も危ぶまれましたが、
一部予定のイベント(ツアー等)は中止としましたが、工場のオープンや、
拠点でのワークショップやトークイベントは開催いたしました。

足下のお悪い中で、わざわざ足を運んでくださった皆様、
本当にどうもありがとうございました。

前日(2/14)には、NHK「ゆうどきネットワーク」にて数分間、
ホワイトテクニカ(町工場)の白石さん、小野製作所の小野さんとともに、
くりらぼ多摩川で準備をする学生が生放送で中継されました!


そして、事前準備は、しんしんとゆきの降り積もる中、深夜まで及びます。



そして、翌朝、一部交通機関の乱れもあり、準備に間に合わないスタッフも。


当日、雪から雨になり、雪と水浸しの道路で、お越しの方も大変だったと思います。
午前中は、雪かきに精を出して、天気のよくなった頃合いには、お客様が
増え始めました。

私は、その中でも、拠点の一つ、「くりらぼ多摩川」におりました。
数年前まで稼働していた町工場跡を改修した場所で、NHK朝ドラ
「梅ちゃん先生」の安岡製作所の撮影で用いられた機械(旋盤・フライス盤)も展示されています。


午前中から、「くりらぼワークショップ」と称して、
下町ボブスレーのペーパークラフト製作、午後には、すみだで活躍される
「配財プロジェクト」のメンバーによる「配財ワークショップ」で、廃材を用いたハンコづくり。
雪の中、集まってくださった皆様、どうもありがとう!


 
そして、くりらぼ多摩川の正面では、今回企画として「くりらぼ・カフェ」を実施。
醍醐ビルさんのご協力により、素敵なスープや焼き菓子、パテなども。
お客様がたくさんお集まりくださり、大盛況。


中には、松葉杖を突きながら、大阪から来てくださった方や、
交通機関の乱れに巻き込まれながら、和歌山から7時間をかけてきてくださった
方もいて、感謝の限りです。

完璧なリベンジとはいきませんでしたが、なんとか皆様のおかげで
三回目のオープンファクトリーもやり遂げることができました。

普段はなかなか触れられない、職人さんとのふれあいや、技術、
そして、そんな魅力集まる街の空気を感じ取っていただけたなら、これ幸いです。

将来的には、「JAPAN OPEN FACTORY DAY」なんてことで、
日本中で町工場が公開されるといいな、なんて夢も抱きつつ、
これからも活動していきたいと思っています。



2013年11月15日金曜日

くりらぼ多摩川とOOFリベンジ

大田クリエイティブタウン研究会(大田観光協会+首都大学東京×東京大学×横浜国立大学)
で推進している、大田クリエイティブタウン構想の中のプロジェクトの一つ、

「くりらぼ多摩川」

が現在、本格オープンに向けて進行しています。

これは、矢口地区(武蔵新田駅周辺、新田神社の裏)にある工場長屋の一角にあった、
工場跡及び事務所跡を簡易にリノベーションして、「モノづくりのまちづくり」推進の
拠点として活用とする社会実験です。


 
(11/14)現在、準備会を開催して、本格オープンに向けて関係者内で
意見を交わしています。

オープン後は、簡単なモノづくり体験やワークショップなどの体験実施、
展示、シンポジウムなどの発信拠点、
工場見学ツアーの窓口機能、
製品開発に向けての企画実験場、
カフェやBARなどの交流機能などを中心に活用することを検討しています。

先行的に「町工BAR?」していしまいました。



そして、「梅ちゃん先生」の安岡製作所で用いられていた機械の展示についても検討中。



また、台風26号の影響で中止になった、「おおたオープンファクトリー2013」も、
2014年2月15日にリベンジ開催を予定しています。

大田での動き、乞うご期待です。

2013年10月6日日曜日

天空の城(郷) と 犬と鬼

本日は、通常の生活では考えられない、秘境にある現代の暮らしについてです。

一般的には、水が得やすい場所、気候変動を受けにくい場所として、
河岸段丘の上、あるいは、山の麓などに集落が並ぶのが通常です。

 
 

しかしながら、わざわざ山の上や中腹に住んでいる人たちがいます。

「天空の城(郷)」ともいうべき、徳島県三好市祖谷の落合集落。
標高差は390mのところに、約60-70くらいの世帯が貼りついています。
これまでのブログ(『Project List 2013』:http://udynu2012.blogspot.jp/2013_05_01_archive.html
の中の地域マネジメント計画にある、長倉集落も急斜面に張りつく集落ですが、
それよりもとても高低差も世帯数も大きな集落です。


ちなみに、こんな条件の厳しい場所に住み始めたのは、屋島の合戦後の
平家の落人伝説と関連しているといわれています。。。

現在、この落合集落は、伝統的建造物群保存地区に指定されています。
(伝統的建造物はそれなりにあるようですが、
  多くがトタンを被っており、いわゆる茅葺が見えるのはわずかです)。

祖谷地域では、東洋文化研究家、アレックス・カーさんの生活と取組みが有名です。
アレックス・カーさんは、『犬と鬼』(2002、講談社)という、
日本社会への警鐘をやや辛辣な表現で描き出した書籍、そして、
祖谷の暮らしから日本文化への傾倒と警鐘を描き出した、
『美しき日本の残像』(2000)が有名です。
近年では、京町家を宿泊施設とすべく、一日の賃貸借契約による、
「京町家ステイ事業」なども展開されています。

カーさんは、この祖谷に出くわした1971年、この地を正に「桃源郷」だと感じ、
地域を捜し歩いて、空き家となっている茅葺民家を見つけ出し、
所有者と交渉してこれを買い取り、自ら修理改修しながら、
その民家を「篪庵(ちいおり)」と名付け、維持管理を行ってきました。

その後、いよいよ、自らの活躍で、仕事や関係が広がる中で、
自分だけでは維持しきれなくなったのか、関係者と組織をつくり、
現在では、「NPO法人篪庵トラスト」という組織の形で活動されています。
当の茅葺民家(篪庵)は、近年本格的な改修事業が進んでおり、
2012年8月より、簡易宿泊所として活用されています。


 

この篪庵は釣井という集落にあるのですが、同NPOは、さらに、落合集落にある
3棟の茅葺民家の再生活用を事業化し、これもゲストハウス(宿泊所)として活用しています。
食事は出ませんが、自炊か、出前か、地域のお母さんとともに料理をする(料理をしに民家に行く)
などが可能となっているそうです(浮生と晴耕・雨読)。


アレックスカーさんは、縮減時代においては、斜面集落では農との関係も大切ながら、
完全なる再興はできない。
ならば、観光も含めて、このネットワークを全体として維持するしかないのではないかと、
エッセンスを受け継ぎながらの新たな可能性を模索されているようです。
ちなみに、NPOのスタッフの方は、カーさんのテレビをみて、これだ!と思って
参加したとのこと。みなさまも、一念発起してはいかが?

そして、こうした斜面集落は、祖谷だけにとどまりません。


美馬市の「家賀(けか)」という集落も同じように斜面に貼りついています。
ここでは、四国のため池の風景とは異なり、
山の上でも湧水や井戸から水が豊富に手に入るそうで、
そのため、上に行くほど、高い階層の家ということになるようです。


この集落をつぶさに眺めていると、斜面に生きるための様々な工夫が施されています。
石垣は、大きな石と小さな石の組み合わせ、角の反り、基礎のようにおかれる松の木など、
職人の技により、絶妙な力の伝達で、崩落や破壊を防いでいます。
そして、この石垣は、なんと輻射熱によって、作物育成の手助けをしているのだそうです。
 なんというエコ技術ぶり!

農地は、なるべく面積を増やすために斜面のままで畑として使われ、表土が流出しないように、
そして肥料にもなるように、藁が混ぜ込まれます。


さらに、この石垣からの放射熱に用いて、作物の育成が助ける技術も用いているとのこと。

さらにさらにすごいのは、これらの集落からは、等高線に沿ったみちが続いており、
集落同士がネットワーク化され、「そらの郷」同士で生活が組み立てられていることです。

 ***
幸福とは何か、暮らしとは何か、厳しい環境の中でも、知恵と工夫で生活を構築する力、
現代は本当に豊かなのか、現代は本当にお金がなくて暮らせないのか、
こうした暮らしと都市の関係性はどのようにあるべきか、今後の課題です。